ご存じでしょうか
1900年、世界の平均寿命は31歳。
2023年、世界の平均寿命は72.6歳。(日本84.95歳。男性:81.91歳;女性:87.97歳)
サイエンスと衛生医学の進歩がこの数字を変えた。
想像してみてください!
50年後、100年後、人々はどこまで健康で生きるでしょうか
サイエンスの進化は、続けています。
テロメアは、DNAを格納している染色体の末端に付いている部分です。細胞が細胞分裂をするたびに、このテロメアは少しずつ短くなります。このテロメアがあるおかげで、染色体の端っこは「擦り減らない」ようになっています。テロメアがなくなってしまうと、細胞は分裂できなくなり、老化して死滅します。
ストレスや酸化ストレスは、NAD+やテロメラーゼの活性を低下させ、テロメア長を短くすることが報告されています。
DNA複製メカニズム研究の初期から細胞は分裂毎に遺伝子が短縮するという問題をどうやって回避しているかが課題とされてきました(“末端複製問題”)。この問題はテロメアとテロメラーゼの発見によって解決し、ブラックバーンらは、その功績によりノーベル生理学・医学賞を受賞しました(2009年)。
NAD+は、細胞内でエネルギーを作るために必要な補酵素ですが、NAD+を高めることは、テロメラーゼやサーチュインの活性を高めることにつながり、テロメア長を長く保つことに寄与する可能性があります。
加齢やストレスなどでNAD+の生成が低下すると、細胞核の損傷やミトコンドリアの活性低下が進みます。これらは老化や病気の原因になります。
テロメラーゼは、染色体の末端にあるテロメアと呼ばれるDNAの繰り返し配列を伸ばすことで、細胞分裂のたびに短くなるテロメアを補充する酵素です。
サーチュインは、NAD+に依存してヒストンや他のタンパク質のアセチル基を除去することで、遺伝子の発現や代謝を調節する酵素です。サーチュインの中でも、SIRT1とSIRT6は、テロメア長やテロメラーゼの活性に影響を与えることが報告されています。
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)はビタミンの一種(b3)で、食事から吸収したり、体内で自然に生成される物質です。 NMNは体内でNAD+を生成する前駆体であり、テロメア長を伸ばすことで細胞核を守ります。
・NAD+は分子量が大きく、細胞膜を通過しにくいため、体内の各組織に届けることが困難です。
・NAD+は不安定な物質で、水や酸素によって容易に分解されてしまうため、保存や投与に工夫が必要です。
これらの理由から、NAD+を直接摂取するよりも、NAD+の前駆体であるNMNを摂取することが効果的だと考えられています。NMNは細胞膜を容易に通過して、細胞内でNAD+に変換されます。NMNによってNAD+を増加させることで、抗老化や健康維持に様々な効果が期待できます。
NMNは体内で自然に生成される物質のため、安全です。
またNMNはビタミンB3の一種で、水溶性のため摂取しても体内に蓄積されません。しかし、過剰摂取すると、消化不良や下痢などの副作用が生じる可能性があります。ビタミンCと同様です。
NMNを保存する際には、NMNの劣化を防ぐため、密閉した容器に入れて、冷暗所に保管することが推奨されています。これにより、NMNの劣化を防ぐことができます。
NMNの粉末は、空気中で長時間保存すると、水分や酸素によって加水分解や酸化が起こります。これらの化学変化によって、NMNの分子は分解されたり、別の物質に変わったりします。その結果、NMNの品質や効果が低下する可能性があります。
・NMNは、胃酸に弱い物質で、胃の中で効果を失ってしまう可能性があります。腸溶性カプセルは、胃では溶けずに腸で溶けるように設計されているため、NMNを効率的に腸に届けることができます。
・NMNは、腸でNAD+に変換される前に、NMNAT3という酵素によって分解される可能性があります。この酵素は、胃液や唾液にも存在するため、NMNの吸収率を低下させる可能性があります。腸溶性カプセルは、この酵素の作用を回避することで、NMNの吸収率を高めることができます。
・NMNは、水や酸素によって容易に分解されてしまう不安定な物質です。腸溶性カプセルは、NMNを水や酸素から遮断することで、NMNの安定性を保つことができます。
1日の推奨量は個人によって異なりますが、一般的には300mgから1000mgの範囲で摂取することがおすすめです。
ハーバード大学のデビッド・シンクレア教授は、自身が1日1000mgのNMNサプリメントを摂取していると公表しています。
NMNの摂取量とNAD+の体内量の関係については、いくつかの研究から、以下のことが分かっています。
・一日250mgのNMNを摂取した高齢者では、血液中のNAD+量が2倍以上に増加しました。
・一日1000mgのNMNを摂取した健康な成人では、血液中のNAD+量が1.6倍に増加しました。
・ 一日1000mgのNMNを摂取した健康な成人では、尿中のNAD+量が2.5倍に増加しました。
これらの研究から、一日1000mgのNMNを腸溶性カプセルで摂取すると、体内にどの程度のNAD+が変換されるかは個人差があると考えられますが、おおよそ1.5倍から2.5倍程度に増加する可能性があると推測できます。
NMNは胃酸に弱い物質のため、空腹時にNMN腸溶性カプセルを飲むと良いでしょう。
午後や就寝前に摂取すると、睡眠の質や疲労感の改善を感じやすいといわれています。
NMNの体内半減期は、およそ1時間程度と言われています。つまり、NMNを摂取してから1時間後には、体内のNMNの量は半分になります。しかし、NMNは体内でNAD+に変換されるため、NAD+の半減期は、約2日と長いです。そのため、早晩関係なく、一日一回NMNを摂取すれば、NAD+の量を維持することができると考えられます。